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「行かないと間に合わないぞ?」 「……あのさ」 「?」 「もう一回言うんだけど」 「何?」 「その……お前のことが好きって言うのは……その……」 「はっきり言いなよ」 「俺は!……お前と、いろいろしたいぐらい好きなんだけど」 「うん」 「だから、お前の好きはどれぐらいのレベルなのかな……と」 千紘は一瞬唖然とした表情を浮かべたものの、すぐにまた笑顔を浮かべた。 「俺も一緒だよ」 「一緒って……」 「いろいろしたいぐらい好きだよ」 「いろいろってなんだよ……」 「キスとか……セックスとか?」 「なっ……」 「要は大悟だけってこと」 「…………」 「納得した?」 事もなげに言われて唖然としながらも、にっこりと微笑む彼に顔を赤らめてこくりと頷いた。 「行こう?結構やばい」 そういって歩き出したのはやはり千紘だけで、大悟はまだそこに止まったままだった。 「大悟!」 「……ちょっと余韻に浸っていくわ」 「え?」 「だから、ホームルームはパスってことで」 はにかんで見せると、千紘は苦笑いを浮かべた。 「……仕方ない。先生にはうまく言っとく」 「助かる」 「1時間目には間に合うようにこいよ」 彼はそう言うと小走りに走っていった。 「……なんとか言えたよ」 「よくがんばりました」     
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