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鋭い視線を向ける大悟に対し、何食わぬ顔で少年はハンバーガーを指差した。
「あ……千紘悪いな……その……」
「え……あぁ、別にいいよ。一番安いセットだし。それよりもお前の皺のほうが気になる」
千紘は人差し指で大悟の眉間を軽く押さえた。
「やめろよ……」
その手をそっと払いのける。
その様子に、千紘は少しだけ眉を下げて手にしたコーヒーを口へと運んだ。
二人のそんなやりとりを、少年はただ黙ってじっと見ていた。
「……何見てんだよ」
「別に」
彼はふいと視線を逸らして、再びハンバーガーを頬張る。
「お前さぁ、マジでなんなの?」
大悟の問いに少年は、口の中が空になるのを待って、さらにウーロン茶を一口飲んでから言った。
「天使です」
「……さらっと言った」千紘がぽつりと呟く。
「そんなドヤ顔で言われても、ぶっちゃけそれ信じろって無理だろ」
「無理も何もホントのことだし」
「話しの腰を折るようで悪いんだけど、どうして天使が大悟について回ってる訳?」
千紘が若干の興味を滲ませて尋ねた。
少年はちらと千紘を見て、すぐにまたその視線を大悟へと戻した。
「彼が、当たりを引いたから」
「当たり?」
少年はこくんと頷いた。
「だから僕は、彼の願いを叶えなければならない」
「だからなんでだよ!?」
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