【4】

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そして、難しそうな本ばかりが並ぶ元の棚へと丁寧に戻した。 何故こんなことをしているのか自分でもよくわからない。 それでも、彼のことを忘れてしまう前にもっと知っておきたいと思った。 「……まだ気になる?」 千紘がそっと尋ねた。 「…………別に」 言葉とは反対にその眼はまだ本を見つめている。 千紘は小さく息を吐き出して、ぎゅっと固く握った拳で大悟の背中を小突いた。 「っ……なんだよ」 「嫉妬してんの」 ドキリとして振り向くと彼はすでに歩き出していて、棚の角を曲がっていく。 大悟はちらりと本を見たものの、小さく息を吐き出して歩いていく千紘の後を追い掛けた。 昇降口に人の姿はなく、黙って靴を履き替える。 「……眩しいな」 先に外へ出た千紘が呟いた。 追うように外へ出て、大悟もまたその眩しさにくらりとする。 初夏の夕方――日はまだ高く、その光は明るく降り注いでいた。 「大悟」 不意に呼ばれてそっと目をあけると、振り向いている千紘と目が合った。 「行くぞ?」 正直、よくわからないでいた。 千紘が大切な存在だということはわかっている。 でもそれは、本当に恋愛感情なんだろうか? あの時彼は同じだと言ったけれど、それは本当なのだろうか。 ……天使と一緒に消えてしまったのではないだろうか。     
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