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自分で言ったくせに恥ずかしくて、顔を伏せつつ千紘の様子をちらと窺う。 彼は腕で顔を隠していたが、その向こうにある赤い頬に鼓動が早くなる。 「……なぁ」 「……何?」 「……ホントに俺のこと、好きなの?」 「そう言ったよね?」 「言われたけどさ……まだ信じられなくて……」 「もう……ホント困った奴だな」 彼はふっとその頬を緩めると、大悟の胸元を強く掴んでぐいと引き寄せた。 「!」 重なった唇は、想像していたよりもずっと柔らかくて……甘かった。 唇が離れても千紘はすぐそこにいて、端正なその顔から目が離せない。 「もっとする?」 そう言われて一瞬で顔が熱くなる。 その様子にはははと楽しそうな笑い声をあげて、彼は歩き出した。 「行こう。もうあまり時間がない」 楽しそうに笑う千紘の声。 いつもと変わらない景色だけど、確実に昨日とは違う二人の距離。 「まだ気になってんの?」 これをくれたのは間違いなくあいつだ。 「いや……もう忘れた」 大悟は眩しそうに目を細めると、千紘と並んで歩き出した。 「コーラとハンバーガー」 「俺はコーヒーで」 「ご一緒にバーガーセットはいかがですか?」 「そういえば俺、この間奢ったよな?」 「誰に?」 「お前にだよ」 「は?奢ってもらってねえし」 「確かに奢りました。ポテトとバーガーのセット」     
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