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「君の願いを叶えた時、翼は戻ってくるんだ」 そう言った表情はどこか寂しげだった。 彼の犯した【禁忌】がどういうものなのか気にはなったが、明るく振舞う様子に聞くことは(はばか)られた。 それを聞いてしまうと、彼自身を壊してしまいそうな気がした。 その日は結局、答えは見つからなかった。 願いが翌日に持ち越されると知った彼は、早々にベッドへと潜りこんだ。 気持ちよさそうに寝息を立てる彼を見る――その寝顔は天使らしく、つい口元が緩む。 その時、零れ落ちる雨音が聞こえて窓の方を振り向いた。 徐に腰を上げそっと外を覗けば、暗い世界を、降りしきる雨がより一層色濃くしていた。 先の見えない窓の向こうを、大悟はただじっと見つめていた。
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