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Ⅳ
文化祭当日、ステージバックと共に美術部員の作品も展示された。古都のあのさなぎの絵も完成して前日から並べられた。
二人で見に行こうと美術室に向かうと、思った以上に人だかりがしていて驚いた。
不思議に思って中に入ったとき、騒ぎの原因を知った。
古都の絵が破壊されていた。
絵の中のさなぎは混沌とした液状のさなぎのまま、ただ傷つけられ破られていた。
二人で茫然としていると、不意に背後で抑えたくすくす笑いが聞こえて足音と共に去っていく。 わたしは思い至った。
──沙奈だ。
なんて幼稚な嫌がらせなんだろう。なんて独りよがりで盲目的な。でも、沙奈だけを責めて怒りをぶつける気にはなれなかった。わたしは多分、あの子の感情に無頓着だった。あのとき沙奈が何を思っていたかなんて知ろうとも思わなかった。きっとわたしも悪かった。
「あんなのただの絵だよ」
何かを察したように、なんでも無いように古都は言ってわたしを慰める。
「そうじゃないでしょ。そういうことじゃ、ないでしょ」
どうして慰めるのがわたしじゃなくて古都なんだろう。わたしはどうして泣きそうになるんだろう。
「──でも、もうつまんないからここ抜けよっか」
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