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古都はどこか吹っ切れたように笑って、わたしの制服の袖を引っ張った。 校門を抜けて、二人で最寄駅からこの街一番の繁華街へ向かった。駅ビル内は華やかで目にちかちかと刺激を与える。 「ピアス開けない? 」 ピアス売り場を覗いていた時、古都は唐突な提案をする。 「開けたら、思いっきり派手で、でもセンスがあるやつを付けよ。自分のためだけに選ぶんだよ。人が見たらどう思うかなんてくだらない事、考えちゃ駄目だよ」 そのわくわくするような提案に胸がはずんだ。自分のためだけに選ぶピアス。迷って迷って選んだのは、細いワイヤーの先で揺れる、あの蝶のような青さを持った大きなガラスの三角形だ。古都も同じものを選んだので、角と角を付き合わせると蝶の形になる。 戻った駅のホームで古都が(おもむ)ろにポケットから安全ピンを取り出した。消毒もせずに躊躇なくそれぞれ相手の耳に新しい穴を開ける。 古都がぽすりと私の耳に開けてくれたばかりのピアス穴は、開けた瞬間熱を持ったような違和感を与えた。古都が私を傷付け、私が古都を傷付けたお揃いの痛み。     
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