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開いたばかりの穴に、ファーストピアスに全然相応しくない先ほど買った揺れるピアスを刺し通す。ピアスで埋めてしまえばもう、傷なんてないのとおなじ。血液も体液も滲み出ない。古都のひらひらの薄い皮膚の下に透けて見える毛細血管はなぜだか見てはいけないもののようにエロティックだった。 ストライプのブラウスとジャンパースカートという冴えない制服に、そのピアスは酷く不似合いなような、けれどそれが逆にこなれたお洒落のような、不思議なバランスを作って映えた。 私たちはさなぎ。この耳のピアス穴から化膿してどろどろぐちゃぐちゃにすっかり溶けて、それから思いもよらない程美しい蝶になる。 溶けたそこからどうやってあの清く穢れない青色が生み出されるのだろうか。今古都を包むあのイノセントな透明膜は、さなぎの殻だろうか。 古都が実際美しいのか、私のフィルターが古都を美化しているのか、もう分からない。 再び電車に乗った。どこまでも乗って辿り着いた終点は、観光地になっている見晴らしの良い高台だった。あたりはまだ充分明るい。 降りてみると駅からさほど離れていない場所がもう際どい崖になっていて、全てがどうでも良くなるような清々しい眺めが拡がっていた。古都は躊躇もなくその崖にどんどん歩を進めてゆく。 「あぶないよ」 私の言葉に構わず古都は息だけ漏らす笑い方をして、そのきわにぞんざいに立った。そのままそこに腰を下ろす。 なんでそんな所に平気で掛けるんだろう。わたしが見ているというのに。     
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