6精神科、北庵病院(現代、左近のターン)

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6精神科、北庵病院(現代、左近のターン)

シューズボックスの鏡に自分を映した左近。 「何者じゃ、これは?! 」 清美は、落ち着いて諭すように、 「なにを言ってるのカケル、それがワタシの息子時生カケルの姿よ」 ――精神科、北庵病院。 北から東南へ紅葉の名所、竜田川を下るとそこには盆地が開けている。南に聖徳太子の斑鳩(いかるが)。西に、信貴山が睨みをきかせている奈良県生駒郡椿井町。 ここ椿井町に入院可能な精神科救急病棟、北庵病院がある。 どういう理由かわからないが、現代の高校生、時生カケルと入れ替わった関ヶ原の戦いに大活躍した戦国武将、嶋左近は、カケルの母に腕を引かれて精神科病院、北庵病院へやって来た。 北庵病院は、30床ほどの小振りな病院で、精神科の名医と評判の北庵が営む個人病院である。 はた目に見れば40代の小綺麗な母親、清美に腕を引かれてやって来た高校生、カケルであるのだが、中身は戦国武将、嶋左近。 清美が代理で受付を済ませ、待合い室で母子並んで座っている。 清美は、左近の手を握って、
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