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漆黒の巨馬は、カケルを見定めて、「では、試してみるか 」と、カケルを睨んだ。
カケルは、漆黒の巨馬の目に、遊び心を感じとって、「ならば、参る!」と挑戦を受け入れた。
カケルは、ヒョイッ!と漆黒の巨馬に飛び乗った。そのつど漆黒の巨馬は暴れて振り落とした。けれども、漆黒の巨馬は逃げなかった。傷だらけでボロボロになりながらもカケルはあきらめなかった。
やがて、陽が暮れて来た。
「負けた。負けた。お前には負けたよ」
さんざん、漆黒の巨馬と闘ってくたびれたカケルは、とうとう大の字に寝転がった。
「おい、よせよ!」
どういう訳か漆黒の巨馬が寄りそう良いにカケルに近寄って、傷だらけの頬を舐めてくれた。
「お前、やっと俺を認めてくれたんだな」
カケルは残り少ない籠からニンジンを漆黒の巨馬へ差し出した。
カケルはその荒ぶるタテガミをなでながら、
「ありがとな、漆黒の……」
と、そこで思った「お前に名前がないのも味気ない。そうだな……お前は、霧の中を風のように駆けるから゛霧風゛はどうだ!」
カケルが、そう言うと霧風は、カケルのニンジンを喰らった。
つづく。
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