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お前とかアナタとか、キシが僕を呼ぶ時に、あの目に映っていた自分が、まるで他の誰かのように羨ましかった。
キシさんと呼べば、そこにキシがいて僕を見ることは、もう願っても叶わない。奇跡だと知らずに、キシに見られていた時間が恋しかった。
会えなくなってからしばらくは、セックスのことをよく思い出した。
記憶に留めておいた些細なことを。
初めて寝た時から、歯止めが利かなくなるほど気持ち良かったこととか。
噛むとか押さえ込むとか強く掴むとか、僕が思わず、痛い、と言うようなことをキシはよくやったけど、いつも優しかったこととか、乱暴に、と言うと、ほんの一時だけ激しくなる時、僕はリクエストに応えてくれること自体が好きだったのだが、キシにはわかっていただろうかとか、している最中にキシが、お前、ほんっとに淫乱だなあ、と心底感心した口調で言うので、二人とも笑ってしまい、キシが後から反省していておかしかったこととか。
でも、三年くらい経って、悲しさも後悔も、諦めのような感情と一緒になった頃、キシを思うと、僕を見ているあの目と、笑っている顔だけが残っていた。
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