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3
次に英司からメールが来た時、泊まらないなら、という条件で会うことにした。
三回以上会っても大丈夫と思えたのは、キシと別れて時間が経って、人と親密になる怖さが薄れたこともあるが、英司の妙な距離感のせいだった。
結婚しているとか、何か事情があるのか、そのうち聞いてみるつもりだった。
英司は、三回目はやはり昼間に来て、夜早い時間に帰っていった。
四回目は、夜に会って部屋に来て、帰れと言わなかったら泊まっていった。
その次に会った時、英司は僕の部屋に直接来て、泊まった。翌朝、カーテンが開けられる音と眩しさで僕が目を覚ますと、彼は、
「おはよう」
と言いながら、ベッドに上がってきた。腹ばいになって顔をこっちに向け、僕を穏やかな表情でしばらく見つめた後、
「あなた、病院行ってる?」
と聞いてきた。
「ん、どういうこと?」
「なんか、睡眠に問題があるから」
「ああ…それ」
僕はうんざりして、
「うるさかった?」
と聞いた。英司は、
「他でも、言われたことがある?」
と言いながら、体を起こして肘をつき、枕を抱えている僕の頭に手を置いた。触られると、やっぱりキシを思い出した。
「うん」
「前からだろ?」
「まあ」
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