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羽柴は、コートのポケットから、真一からの手紙を取り出す。
自分とは違って几帳面な真一の字が、真っ白い便箋に青い万年筆で書かれてある。
羽柴は、いとおしそうに手紙の表面を撫でた。もう何度も読んだので、文面はすべて覚えてしまった。
この手紙があったからこそ、羽柴はこうして息をしていられるのだ。
羽柴は、膝に乗せた真一にキスをする。その左手の薬指には、銀色の揃いの指輪が二つ、今も変わらず輝いている・・・。
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