act.15

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 耕造さん。  まずはあなたに謝らなければなりませんね。  こんな手紙を残す僕をどうか許してください。  僕の人生は、あなたがすべてでした。  おそらく、旅立ちを迎えた後も、きっとその思いはかわらないでしょう。  素直でない僕は、あなたと一緒にいると伝えたい想いがありすぎて、うまく伝えられませんでしたね。  そうして、愛しているという言葉を言い忘れたことにいつも後悔をしていました。  不思議と、手紙にすると落ち着いて考えることができます。  僕は、あなたを本当に愛しています。  それ以上の言葉が見つからないくらいに。  だからどうか、僕の死に出会っても、必要以上に悲しまないでください。  あなたは、僕という人間をこんなに幸せにしてくれた力を持つ 、素晴らしい人です。僕には、少しもったいないくらい。  そんなあなたなのだから、泣くだけ泣いてしまったら、  しっかり前を向いて、歩いていってほしいのです。  僕には、あなたの前向きな姿勢が一番いとおしかった。  何にもまして。  愛を抱かせてくれたまま旅立たせてくれたあなたへの感謝の気持ちは、あなたの笑顔に捧げます。  笑顔を浮かべてください。  そして、前を向いて。  僕はいつもあなたの傍にいます。  だから、失うものは何もありません。  本当に、これまでどうもありがとう。  またいつか、会える日がくることを願って。  愛を込めて。  真一 Nothing to lose end.     
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