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日差しと青の濃度が増した空を見上げる。存在感を示す雲がどっしりと視界の真ん中を陣取り、夏ですよーと手を振っているような気がする。
やっと冷房のききだした教室では、期末テストの返却が行われていた。
夏休みを目前にした高校生たちと、その行く手を阻もうとする強敵との仁義なき闘いの結果が告知され、教室は呻き声や小さなガッツポーズ、冷や汗ものの「セーフ!」という声で溢れてごった返している。
出席番号のカウントダウンが近づき、冴は無意識に詰めていた息を吐いた。中間テストの結果から、今回要注意なのは世界史と、今返却されている英語。
毎回それほどスレスレの点数を取っているわけではないが、今回は特に、絶対、補習や追試に引っ掛かるわけにはいかない。今頃ここで闘志を燃やしたって、もうどうにもならないのはわかっていても、最後の悪あがきのひと拝みを心の中で…しようとしたその時、机の中のペンケースがもぞっと動いた。
「……暑い。」
お気に入りの猫型ペンケース、の中から水色のイルカが顔を出す。猫に食べられていたみたいでなかなかシュールだが、今はそんなことを言っている余裕はない。冴は咄嗟に辺りを見回し、顔をしかめる。…なんで、ここにいるんだ。
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