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――数分後,捜査一課に土山が現れた。
「内田,待たせたな。……どうやら,警視庁のメインサーバーがやられたらしい」
「やっぱりな。つうことは,お前んトコの部署,今てんやわんやなんじゃねえのか?」
サイバーセキュリティ対策室といえば,ネット犯罪に通じた精鋭部隊だ。
「ああ。他の連中も,あちこちの部署から呼び出されてる。今,対策室はもぬけの殻だ」
「おいおい」
内田は呆れた。緊急事態とはいえ,最後の砦を無人にしていていいのだろうか?
「土山,何処からハッキングされてるか,突き止められるか?」
「どうかな。やってみよう」
そう言って,土山は内田のPCのキーボードをもの凄い速さで叩き始めた。
内田はこの同期を信じ,成り行きを見守る。気がつくと,他の刑事達も全員,内田のデスクの周りに集まっていた。
「内田君,彼一人に任せて大丈夫だろうか?」
一課長の熊谷が,心配そうに内田に訊く。
「彼は優秀な男です。今は信じるしかないでしょう」
そして,数分後……。
「分かったぞ。――犯人は,警視庁の建物内部からハッキングしています!」
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