ハッキング

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後半部分は,熊谷課長に向けて言ったらしいが……。 「土山,それが何処の部屋だか分かったのか!?」 内田が彼に問う。土山は大きく頷いた。 「三階の第二会議室だ。そこに犯人がいる」 土山の答えを最後まで聞かず,捜査一課の部屋を飛び出して行く。単身,三階の第二会議室に向かって――。 「おい!そこまでだ」 会議室のドアを勢いよくバンと開き,内田は中にいるであろうハッキング犯に向かって叫んだ。 背中を向けた犯人が,内田の方を振り返る。部屋は真っ暗で,パソコンの画面から漏れ出ている光だけが映し出すシルエットで,女だということだけは分かった。 髪が長く,まだ若い。二十歳くらいか,もっと下か。 「あーあ,見つかっちゃったか」 楽しんでいるように呟き,彼女は内田の前まで歩いてきた。降参,というようにホールドアップして見せる。 遅れて来た後輩の杉原(すぎはら)巡査部長が,部屋の照明のスイッチを入れた。 彼女は黒のパーカーに,黒いデニムのショートパンツ姿。黒っぽいストッキングに,黒いショートブーツ。 体型はスラッとしている。というか。 「まだ小娘じゃん」 バキッ! 言った途端,彼女の鉄拳が内田の顔面にヒットした。
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