女の友情って意外と脆くない

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仕事の休憩中、コーヒーとサンドイッチ片手に社員食堂の窓際の席でブルル、とスマートフォンが震えた。 優衣は伏せてあるスマートフォンを表に返して、画面をタップした。 あの飲み会から数ヶ月経った、陽菜の名前が表示されていた。久々の彼女からの連絡だった。 画面に表示されている陽菜の名前をタップすると、アプリ開いた。 陽菜からは少し会えないかな?というお誘いだった。 仕事を定時に終え、優衣は待ち合わせの駅前のカフェに急ぐ。 平日の夕方ともあって、駅はさほど人がいなかった。学生がちらほら下校しているくらいだった。 カフェの前を通り過ぎて、入り口に回り込む。オープンテラスが有名なカフェだが、今日は人が少ないのか、テラスは使われていなかった。 扉の前に着いて、陽菜に着いた旨を連絡すると、すぐスマホが震えた。どうやらもう着いているらしい。 店内に入ると愛想の良い、店員さんがいらっしゃいませと声をかけてくれる。待ち合わせですと伝えると、笑顔のままテラスに近い、明るい席に案内された。 ごめん、お待たせと言って陽菜に声をかけると、陽菜の隣には見知らぬ男性が座っていた。 「いいのよ、こっちこそ急に連絡してごめんね」 「全然大丈夫よ?...私、彼と初めましてよね?」 陽菜に挨拶をして、隣の男性に目を向けると、どこかで会ったような気もするが、会っていないような気もする。 そのままの陽菜に男性について、聞くと陽菜は少し頬を赤らめた。 「彼とは初めましてだよ。前話したじゃない?プロジェクトがどうのって」 「あー、覚えてるわよ」 飲み会での記憶はしっかりと覚えている。 どんなにお酒を呑んで酔っ払っても、優衣は記憶をなくしたことがない。 陽菜はときどき覚えていないこともあるが、今回はしっかりと覚えているのだろう。 「それでね、彼は取引先の人なんだけど、プロジェクトが一旦片付いたから」 「......改まってなによ?」 「優衣に報告があってね」 あの飲み会から数ヶ月しか経ってないが、これはまさか、と優衣は思った。 まさかね~。 「実はね...彼と、ーー婚約したの」 そのまさかだった。 陽菜は右腕を上げ、手の甲を優衣に向けた。 彼女の右の薬指にがきらり、と光った。 指輪がはめられていた。 幸せそうな彼女の顔に優衣は一言しか発せなかった。 「へ、へぇ~おめでと...」
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