捨てたテニスラケット

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こんな出来事があって、僕は正式にテニス部に入部することになった。 テニスの練習では、菜月だけでなく、監督や部員の皆がいろいろとフォローしてくれた。 僕は、またテニスができるようになって、とても嬉しくて充実した毎日を送っていた。 ある日、練習の休憩中に監督から、 「澤田君、車いすテニスの大会があるから出てみないか?  僕や周りの部員もサポートするから、挑戦してみない?」 と提案してくれた。 僕が、 「部員の皆に迷惑かけてばかりだなぁ…」 とぼそっと言うと監督が、 「そんなことは、気にしなくていいよ!  確かに澤田君はハンディがあって、周りの部員の皆のフォローが必要だよ!  でも、澤田君が頑張る姿は、他の部員に良い刺激を与えているから、お互い様だよ!」 と励ましてくれた。 その時、周りに居合わせた菜月や部員の皆が笑顔で頷いてくれて、僕は監督や皆の気持ちが嬉しかった。 「監督、ぜひチャレンジさせてください。  よろしくお願いします。」 僕がはっきりした口調で答えると監督が、 「それでは、大会出場の手続きしておくね!  澤田君、頑張って!」 と励ましてくれた。
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