捨てたテニスラケット

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僕は、長い夢から覚めたような感覚で瞼を開けると、白い霧がかかったような感じで何も見えない状態だった。 自分はどうしたのだろうかと思いながらしばらくすると白い霧が晴れてきて、白い天井が見えてきた。 誰かが僕を呼んでいるようだったが、その声も次第にはっきりと聞こえるようになってきた。 「和也、わかる?」 母の声が聞こえてきたと思ったら、僕の目の前に母の顔が見えてきた。 僕は、頭がぼーっとしていて、自分が置かれた状況が理解できなかった。 「ここは、どこ?」 僕がやっとの思いで声を出すと、母が僕の耳元で答えてくれた。 「今、市立病院にいるんだよ!  和也は、交通事故に遭ったんだよ!  わかる?」 僕は少しずつ記憶が蘇ってきて、周りの状況も見えてきた。 僕はベットの上に寝かされていて、体中に包帯が巻かれ、点滴や酸素吸入器が取り付けられているような状態だった。 母の話では、僕は一昨日交通事故に遭って救急車で市立病院に運び込まれ、2日間意識が戻らずに寝たままの状態だったようだ。 僕は、これからどうなるのだろうかと、とても不安に感じていた。
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