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「監督、先日教えていただいたものを澤田君に見せていただくことできますか?」
すると監督が、
「もちろんいいよ!
見せるだけじゃなくて、使ってもらっても構わないんだけどね!」
と快く返事をしてくれた。
その後監督が別の男子部員に声をかけて、監督、男子部員、菜月、僕の4人で、男子部員の部室に連れて行ってくれた。
監督と男子部員が部室に入って少しすると、男子部員が車いすを持って監督と一緒に部室から出てきた。
「和也、ちょっとこの車いすに座ってみてくれない!」
と菜月が言ったので、僕は訳がわからないまま頷いた。
監督と男子部員、菜月が僕の体を持ち上げて、もう一つの車いすに移動してくれた。
いつも使っている車いすよりコンパクトで、車輪が少し斜めになっているように感じた。
「この車いすは何?」
僕が質問すると菜月が答えてくれた。
「競技用の車いすだよ!
少し走ってみて!」
言われるがままにタイヤを転がしてみると、意外に安定していてスピードが出て、さらに小回りも優れていて方向転換がしやすいことに気が付いた。
僕は思わず笑顔になって、
「これ、すごいね!」
と口走った。
すると監督が、
「澤田君、君は高校時代有能なテニス選手だったんだよね!
噂は聞いているよ!
もしよければ、もう一度テニスやってみないか?
もし、テニス部に入部してくれるなら歓迎するし、テニス部の皆でサポートするよ!」
と、とてもありがたい言葉をかけてくれた。
「和也、急がなくてもいいから考えてみて!」
菜月も言葉をかけてくれた。
「わかりました。
少し考えさせてください。」
僕は、せっかくの監督と菜月の気持ちを前向きに考えてみようと思った。
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