捨てたテニスラケット

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自宅に帰ってから監督と菜月に言われたことを考えてみた。 僕は、今でもテニスをしたいと思っている。 でも大学生の僕は法律を学ぶことに集中したほうが良いのではないかという考えもある。 下半身不随になってから体を動かしていない僕は、今更テニスができるのかという不安もあった。 でも、菜月がテニスをしている姿を見ると、自分もまたテニスをしてみたいという気持ちが湧いてくるのも事実だ。 結局、いくら考えても結論は出なかった。 翌日、菜月から声をかけられた。 「和也とまたテニスができると、私は嬉しいけどね!」 僕は、複雑な心境だった。 「和也、今日も授業が終わって時間があったら、テニス部に顔を出してくれないかな?  忙しかったら、明日でもいいよ!」 僕は、今日特別な用事もないので、 「いいよ、今日授業が終わったら、テニスの練習見させてもらうよ!」 と素直に答えた。
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