青空のいない世界

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ある日、ふと思い立ったかのように人々は青空に疑問を抱きました。 「どうして、空は青いのだろう。」 「宇宙は真っ暗な闇に包まれているんでしょう? 」 「よく考えてみたら、不思議だよね。」 「どうして今まで、誰も言わなかったのだろう。」 1つ、どこからか声が上がると次々と泉のように湧き上がってきます。 毎日まいにち、テレビをつけても、インターネットを開いても、「どうして? 」の声で溢れていました。 そんな声に答えるかのように、ある科学者が「青空を捨てる方法」を見つけました。 そして、人々はその方法を元に、長い時間をかけて青空を捨てました。 世界は闇に包まれました。 最初は良かった。 星々が光り輝いて、ロマンチックな光景が常に広がっていました。とても綺麗で、世の恋人達は、揃いにそろって空を見上げて過ごしました。 しかし、徐々に異変が現れ始めました。 世界は常に夜。そのため、人々は時間の感覚が掴めなくなっていきました。 夜、寝る時間が遅くなり、朝、目が覚める時間も遅くなり……。 学校の教室の席が埋まることは無くなりました。 大人たちが全員、時間通りに会社に行くことはなくなりました。 世界の歯車がだんだんと、噛み合わなくなってしまったのです。
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