青空のいない世界

5/6
前へ
/6ページ
次へ
人々は、女の子の言葉を頼りに、地面を掘り始めました。 ザクザク。カツカツ。ザクザク。 しばらく掘り進めると、ポヨンっとした何かにシャベルの先が跳ね返されました。 それは、キレイな空色をしています。 「……青空さん、かね? 」 恐る恐る、声をかけました。 「そうです。」 とても、とても小さな声でした。小さかったけれど、怒りのこもった声でした。 「青空さん、すまなかった。 我々人間が間違っていた。 あなたがいなくなって、どれだけ大切な存在だったのか気づいたんだ。」 青空さんは、何も言いません。 「青空さん、ごめんなさい。」 「お願いします、戻ってきてくれませんか? 」 「このままだと、死んでしまうの。」 「人間が滅んだ次は、この地球まで滅んでしまうかもしれないの。」 「あなたの力が必要なの。」 人々は、思い想いに青空さんへ言葉を送りました。 「君がいなければいけないんだ。 我々は、本当に反省している。どうか、戻ってきてはもらえないだろうか。」 改めて、偉い人が謝りました。 それでもやっぱり、青空さんは何も言いません。 すると、女の子が青空さんの中に飛び込みました。 そして、力いっぱいに抱きしめたのです。 「私、青空さんがいてくれて良かった。そうじゃないと今頃どうなっていたか分からないもの。 あなたはとても優しいでしょ? だから、私だけじゃなくて皆のことも助けてあげて? 」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加