黒田君

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黒田君

「じゃないと?」 「じゃないと、あなたを人生のどん底に突き落とすわよ」 「…どう、して?」人生のどん底、つまり殺すということだろうか。 「どうしてって、あなたは私に似てるのよ。だから一緒に生きていきましょう?ねぇ?」 「ごめん、なさい」 「なんで、なんでなんでなんで、なんで!あなたは私でしょう?私のモノなんだから私の言う通りにしなさいよ!」 僕は逃げたいつの間にか走っていた。 自分の部屋についた。 「おう!幸どうした?そんなに急いで」 「あ、あの、高橋さんって知ってる?」 「そらな、学校中のマドンナだよ、しらんの?!」 「マドンナ?…」 「どうしてん!もしかして、好きになったとか?」 「いや、べつにただどんな人なのかなって」 「へぇ~」 言えるわけがなかった、いまでも少し震えている。どうしたらいいんだろうどうしたら。 次の日からは高橋さんを見なくなった。学校に来ていないらしい。僕はホッとした。(でも、僕と同じってどういうことだろう?)気になったけど、誰にも聞けず忘れようとした。すると頭の中から急に声がした。 (また、記憶を消すかい?また、忘れたいからって記憶を消すのかい?) それは僕の声だった。また?消す?分からなかった。するとまた、 (僕は過去の僕だよ、君が記憶を失う前の僕。君はあの時。願っただろう?こんな記憶忘れたいって。だから僕は心の中に隠れたんだ。) 過去の僕?記憶を失う前の僕?僕が願った?わからない、何も覚えてないから。頭が痛い。とても痛くて僕は倒れた。先生の声と、浦崎くんの声がする。 「おい!幸!幸!」 「木実谷!」 目を覚ますと、保健室のベットの上だった。体が動かない。手も足も動かなかった。 (君の体僕がもらっていいかな?いや元々僕の体だよね、黒田 弥生(くろだやよい)君)
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