10人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
彼
電話が切れて、10分後。
家の前に車が止まった。
見たことのない車。
私は、シャワーを浴びて、髪も乾かさずに、最低限のメイクをした。
それだけしか出来なかった。
時間的にも、精神的にも。
それでも、母親は少し嬉しそうだ。
心配もあるけれど、帰郷してから初めてしたメイクに、母は涙を浮かべていた。
車から。
男が降りた。
若々しい青年ではないけれど、年齢相応に老けた感じもない。
彼だ。
そう思った時に。
私の心は、久しぶりに呼吸した…。
最初のコメントを投稿しよう!