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夢のあと
雨が降ってるみたいだ
サアサアと軽い音と、水の匂い
スヤスヤと寝息が聞こえて、暖かい腕の中で目が覚める。
お布団の暖かさと
貴方の肌の暖かさ。
規則正しい寝息に
無意識に回された力強い腕。
幸せで
もっと貴方の傍に行きたくて
くっついてる頬をもっとぴったりくっつく
・・えへへ。
腕を回して、
ぎゅってする
「・・・こら。」
あ、起きた。
でもそのままで、
優しく髪を撫でてくれる手にとろんとする。
「柔らかいな。」
ふふ。
「くすぐったい、」
ふふふ。
二人で笑う
暖かくて。優しくて。
好きで。
大好きで。
もっとぎゅってする。
「・・幸せ。」
そう、呟くと
ぎゅって貴方もしてくれる
額に口づけが落ちる
幸せで
幸せで
泣いちゃいたくなる位幸せな気持ちで。
「愛してる・・。」
聞いた事ない
貴方の呟きに目を見開く
がばっと顔を見ようとすると
ぎゅってされて、見るなだって。
あはは、照れてるんだ。
・・あはは
私も力いっぱい、ぎゅってして、
どうしてか、泣ける。
・・初めて、言ってくれたね。
「もいっかい、言って?」
泣きながらねだる私に。
貴方は痛い位に私を抱きしめて
抱きしめて
「・・・馬鹿だな・・。」
そういう貴方も泣きそうな声で
私は泣きじゃくったまま
──『愛してる。』
聞きたかったその声は
もう、二度と聞くことはなかった・・・
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