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クラウスのそれは、しばらくのあいだびゅくびゅく脈打っていた。私の首元に顔を埋めて、一度大きく身震いして、それからクラウスは顔を上げ、私にずいと詰め寄った。
「ばっかお前っ……急に締め付けるなよ! 中に出しちゃったじゃん!」
「ご、ごめん」
びくりと目を閉じて謝る私に、彼はちょっぴり驚いたようだった。気まずそうに後ろ髪を掻いて、目を逸らして、彼は小さく頭を下げた。
「や……違う、悪い、こっちこそ怒鳴ってごめん。お前を責めたわけじゃなくて……ほら、中に出していいか、確認してなかったから……」
クラウスは俯いたまま私の顔色を窺うようにつぶやいた。でも、彼がどうして気まずい顔をするのか、私にはわからない。
だって私は彼のお妃様で――お嫁さんなのだから。
「……確認、いる?」
「お前まだ十八になったばかりじゃん。子供とか、まだはやいかなって」
「そんなの全然! 全然いいよ! 私、クラウスの赤ちゃん欲しいもん!」
「え、いいの?」
「うん!」
私は頷いて、満面の笑みを浮かべてみせた。強張っていた彼の頬が緩む。軽く身を乗り出して、私の手を取って、クラウスがにっこり笑った。
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