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「兄さん」
「ん?」
「私たち公園で人助けとかした事あったかな?」
「いや? 人助けはなかったはず……。あっ、捨て猫にエサをあげた事はあったな」
「捨て猫?」
「ああ。痩せてそれこそもうギリギリで生きている……って感じの。そういえば、あの猫も灰色だったな。それがどうかしたのか?」
「ううん。なんでもない」
「そうか」
そう言うと兄さんは部屋を後にした。
『本当に……いいの?』
あの少年と灰色の猫が一体どんな関係だったのかは知らない。でも、私が『兄さんのいない世界』を望んだ時、あの人は確かにそう言った。
決して悪くは言わない。深く追求もしない。しかし、あの時の言葉も……今にして思えば一種の『忠告』だったのだろう。
『君たち兄妹には仲良しでいてもらわないと』
喧嘩する事もたまにあると思うが、それらも含めてこれからはもう少し、兄さんと仲よくしよう。
せっかくの……兄妹なのだから――。
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