忠言は耳に逆らう

2/12
前へ
/12ページ
次へ
◆  ◆  ◆  私の名前は金村(かねむら) 美冬(みふゆ)だ。現在、県内の女子校に通う高校三年生の高校生である。  しかし、私は決して美人ではない。それでいて漫画やドラマの様なキラキラ……もしくハラハラ……ないし、ドキドキ……といった学校生活を送っているわけでもない。  それに、どの部活動にも入っていないので、心を熱くさせるような青春も……特にはない……が、ただ……ここ最近、私は一つだけ嫌なことがある。  でも、そこまで深刻な話……ではなく、なんて事のない……ただ年が近い『兄さん』の存在だ。  私の友人である『小春(こはる)』にもお兄さんがいるらしいが、なんだかんだ言い合いながらも、私から見ると……結局、仲がいい。  しかし、小春からしてみると『嫌なこと』も『嫌なところ』もたくさんあるらしい。 「でもまぁ、同性の兄弟とか姉妹とかじゃなかっただけよかったよ」 「なんで?」 「いや、勉強はともかく……運動で比べられることはあんまりないじゃん。少しでも『比較される』って事が少ない方が私はいいから」  小春はそう言って笑った。  私が思うに『普通のご家庭』ではやはり男女の身体能力的な差を考慮してくれるのだろう。しかし、それはあくまで余所様のご家庭の話であり、自分の家の話ではない。  そう……私の家では『そんな事』は関係がないのだ。  ただまぁ、昔から『そうだった』という事もあり、周囲から「おかしい」と言われていても私は特に気にしていなかった。  でも、色々と分かるようになった今となっては――やはり『不公平』だと思う。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加