忠言は耳に逆らう

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「はぁ……」  私の家は世間的には『一部上場企業』と言われている会社の社長。つまり、大企業と言っても過言ではない会社なのである。  それに、決して一代でなしえた訳ではなく、父の代で確か『三代目』になるはずだ。  ただその会社は『家族が代々社長の座につく』という決まりはない。  しかし、父としては社長の座を将来的に兄に渡したいと思っているらしい。そして、私にはそんな兄をサポートできる立場でいて欲しいと考えているようだ。 「ふぁ……」  でも、私としてはイマイチその意味や感覚がピンときていない……というか、今はそれどころではないほどに、毎日がとても忙しい。  今の時期はマラソン大会の準備で色々忙しく……だけでなく、つい最近も中間テストがあったり生徒会の活動があったり……と何かと忙しく、本当は今すぐ帰って寝たいほどだ。 「にゃあ……」  もう一度ため息をつく前に、草のかたまりが「ガサッ」と動き、灰色の猫が現れた。 「…………」  最初は『ロシアンブルー』だと思ったが、よく見るとその猫の目は……黄色かった――。  この猫はいわゆる『ミックス』いや、今は『雑種』と呼ぶことにするが、首輪がない上に、体が少し汚れているところを見ると……。 「あなた。捨て猫? それとも、野良猫?」 「にゃー?」 「……どうでもいいか、そんな事」  私は小さく呟き、手招きすると……猫は私に寄ってきてくれた。  元々この公園を通学時に見たことはあった。そして、やけにこの公園には猫が多い……と感じてはいた。
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