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気になるあいつ 『江川 雪人』
俺が所属する総務部は、俺を含めて四人で回っている。
俺と、同期で紅一点の三島聡美、大卒で今年入ってきた新島大輔、主任を務めている時任奏史の四名。
時任は、経理部の方も兼任だから頻繁に抜ける。
だから実質、三人で総務の仕事を回しているようなものだ。
人手不足は俺が入った時からなにも変わってないのだから笑えてくる。
これでも時任が主任になってからは少しは楽になったんだ。
あいつ、かなり要領が良くて仕事もできるから頼りになる。
物腰も柔らかいし、怒ったところも見た事がない。
女子たちがランチに誘うのもわかる。
よっていつもカツカツの極限状態で日々を過ごしているのだが、そういうことだからここから穴が出ると困るわけだ。
どれだけ俺が、精神的苦痛を受けてもそれは無かったことにしなければいけない。
この間、時任に相談した内容を脳内で反芻する。
物理的な対処はこの際、後回しでもいいだろう。
取り敢えず、俺の目の前のデスクに座っている新島に一言物申そう。
そう決心して見つめていたパソコン画面から顔を上げると、前を見据える。
けれど、そこに新島はいなかった。
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