結論:どうしようか 『新島 大輔』

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それに安堵して、ほっとしていると今度は別方向から俺の心臓を潰そうとしてきた。 「新島君に少し聞いておきたいことがあるんだけど、いいかな?」 「はい。なんですか?」 「江川のこと、どう思ってる?」 いつも見せる穏やかな笑みで時任主任は聞いてきた。 どう思うか、という質問の意図がわからない。 もしかして、昨日の出来事が時任主任の耳に入ったのだろうか。 誰しもいきなりあんなことをされたら、気にするなと言われても気にする。 江川さんが俺のことで時任主任に相談して、それでこうして聞いていると考えた方が妥当だろう。 「嫌ってたりとかする?」 時任主任は核心を突いてきた。 俺はそれにブンブンと顔を横に振る。 それはない、あり得ない。 「嫌いとかそういうんじゃないです。昨日のは、正直申し訳なかったと反省しています。でも、俺が江川さんのことを嫌いだとか、嫌いになるとかそういうのはあり得ません」 確固たる自信を持って否定すると、時任主任は驚いたように目を見開いた。 なにをそんなに驚くことがあるのか。 不思議に思っていると、途端に笑顔になった。 「うん。わかった。なんだか僕が口を出す必要はなかったみたいだ」 うんうんと頷いて、時任主任は一人で納得しているようだった。 困惑げな俺に、そういうことだから、と続ける。 「江川にも伝えておくよ。新島君に悪気はなかったって」 「すいません、お手数お掛けして」 「でも江川にはちゃんと謝っておいてね。結構気にしてたから」 「はい、わかりました」 気にしていた、という言葉にやっぱりそうだったか、と肩を落とす。 きちんと、誤解がないように訂正しなければ。 決意を新たにしていると、そんな俺を放って時任主任はオフィスを出て行って、俺だけが残される。 誰もいないことを確認してから、手中に握りしめていた名刺をそっと覗き見た。 謝るついでにこれも返さないと。
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