アオハル メロディー

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 中学の頃は、精力的にバンド活動を行なっていて、校内では結構な有名人だった。  私はボーカルとギターをしていて、ファンもいたほどだ。  その所為か、同中出身の人間には顔と名前を覚えられていて、こちらから声をかけずとも話しかけられることがあった。  ただ、音楽を捨てたと言った途端、言葉を詰まらせ去っていったが。 「白井さん、そっちどう?」  声を掛けられ、我に返る。顔をあげると、先輩女生徒がこちらを見ていた。  直ぐに用件を悟り、素早く対応する。 「あっ、もう少しです。完成したら提出しておくんで帰って貰って大丈夫です」  今は、文化祭に向けての資料を製作中だ。各クラスや部の出し物についての纏めを行なっている。  最初の話し合いで文化祭役員を推され、特に断る理由もなかったため引き受けた。  ちなみに、女生徒は確かチラシ作りの役だった気がする。 「そう? なんかごめんね、友達との約束が無かったら手伝えたんだけど……」 「いえ、お気になさらず」  軽い作り笑いで見送ると、女生徒は申し訳なさそうにしつつ去っていった。
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