傷痕

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「……あんたは、どうしてその男と付き合ったの?」 「どうしてって、好きって言われたからですよ」 「それって、好きって言われたら誰でも良いって聞こえるんだけど」 「十分な理由だと思うんですけど。私を好きって言ってくれて、私も好きになれたら十分じゃないですか?」 「でも長続きしないじゃない」 「なんでですかねぇ。私、結構一途だと思うんです。浮気だってしないし。大半の人が私と別れる時に、つまらないって言うですよ」 「……あんた、付き合ってる人と喧嘩したことある?」 「ないです」 「相手がして欲しいことは全部応えてるの?」 「お金以外のことなら何でも応えてますよ」 「相手が浮気してても、責めたことないでしょう?」 「浮気させてしまった私が悪いですからね」 「相手に怒ったり、泣いたりしたことないでしょう?」 「好きな相手にはいつだって笑顔でいたいじゃないですか」 「好きって言われて、平気で好きって答えるでしょう?」 「当然ですよ。いつも通り笑って、私も好きだよって答えます」 私は嘆息を吐いた。 「別れる原因はそれだね」 「今のでわかったんですか。先輩、占い師か何かですか」 いや、わかるでしょう。だから、そんなキラキラした目で見ないで。
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