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「おめでとう」
「先輩、、、ありがとうございます。」
南櫻子が桜の下で微笑む。
お互い、顔を見合わせ笑った。
「なんで、笑うのよ?」
「だって、櫻子が桜の下にいるって、、、変なシチュだなぁって。櫻子の方こそなんで笑うのよ?」
櫻子はゆっくりと歩いて近づいてくる。
「先輩だなんて、すごく久しぶりに呼ばれたからねぇ。それと、、、」
櫻子の手が頬に伸ばされる。
「菜月、泣いたでしょ?目が真っ赤。」
「そりゃ、、、卒式だから、ね。」
櫻子の顔が近い。
すっ、と視線を外すとまた櫻子が笑う。
「顔まで真っ赤だし。相変わらず攻めには弱いんだ?」
櫻子は菜月の顔を少し傾け自分の唇を重ねた。
菜月もいつものように優しく抱きしめながら櫻子に応える。
「ごほっん!あー、お二人さん!」
唇を離して声のした方を見ると、川嶋遥と西谷詩織が立っていた。
「あ、、、、」
「こんなトコでイチャつかない!」
遥が呆れ顔で言う。
そしてその隣で少し哀しそうに笑ってる詩織。
遥は私が好きだった人で遥は詩織が好きで詩織は私のコトが好きだった。
身近な所で交差した想いが向き合う事はなかった。
「あら、勢揃いってワケね。」
菜月は2人の手前、詩織と離れようとしたが、詩織は菜月の首に手を回したまま、離れようとしない。
「この中で好きな人を手に入れたのは私だけってコトだよね?」
「ちょっと、櫻子?」
「だって、そうでしょ?私だけが、本当に好きな人を手にした。みんなして、失恋だなんて、おかしいでしょ」
クスクス、笑ってる詩織を無理矢理に引き剥がす。
「ごめんね、今日、なんか変だわ。」
と2人に謝って詩織を引っ張って連れていく。
学校を出て無意識にあの公園に来ていた。
ココは、菜月と遥、詩織がそれぞれ失恋した場所。
櫻子とも過ごしたが菜月は自然とこの場所を避けていた。
「どうしたの?あんな事いうなんて?」
公園のベンチに腰掛けて櫻子を覗き込む。
「べつに、、、ホントのコトでしょ?」
「、、、、、。」
「菜月もあの女の子を好きになって振られた。」
櫻子の声が震えてる。
「な、なんで泣いてるの、、、?」
櫻子の肩に手を置くと振り払われた。
「ごめん、もう、、、解放してあげるよ。」
「え、、、?」
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