春の桜の頃

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菜月はただ地面を眺めてた。 櫻子にいきなりサヨナラを告げられ、櫻子を追うタイミングを逃した。 「あれ?菜月?」 「、、、遥?」 「どーしたの?こんなトコで。南先輩は?」 「あは、は。なんか、私、振られたみたいで」 自分でも不思議だ。 次から次へと涙が止まらない。 遥が戸惑いながら隣に座り、ぽつりぽつりと話す菜月の話を聞いてくれた。 「なるほどね~。まったく、あんたって、、、。」 「私?私なの?向こうが好きって言ってたのに、私が振られるんだよ?わけわかんないし。」 隣に座ってた遥が急に立ち上がって菜月の前に立って、菜月の顔を見上げさせる。 「っ!」 遥が菜月に少し乱暴なキスをしてきた。 「どう?ドキドキする?」 「え、、、?」 「菜月、私のコトが好きだったんだよね?キスして嬉しい?」 好きだった。 このかわいい顔とさっぱりした性格。 キスをしたいと何度も思った。 「わかんない?まだする?今度は結構本気のキス」 遥の顔が近づいてくる。 「!!」 菜月は思わず、顔を背けた。 遥はにっこり笑った。 「誰が浮かんだ?」 「あ、、、。」 櫻子だった。 いつも自分勝手で気持ちを押し付けてきて、いつもいきなりキスしてきて、振り回してくれた。 けど、気がつくといつも隣にいた。 「そういうこと。菜月は南先輩のコトが好きになってたんだよ。あと、先輩も知らないんじゃない?菜月の気持ち。」 「、、、、私、行ってくる。」 菜月は立ち上がる。 「菜月、ちょっとまって。」 遥は菜月を抱きしめた。 「は、遥?」 「菜月、ありがとね。私、詩織のコト諦めてないんだ。あの子まだ引きずってるけど、いつか絶対手に入れる、だから、あんたも頑張れ。」 「遥らしいなぁ。西谷さんに教えてあげないと」 「マジ、やめて。、、、ほら、早く行ってきな。」 菜月は、遥と握手をしてこの公園を飛び出した。 それぞれがそれぞれのゴールを探していた。 間違う事もある。 けど、それは後悔には繋がらない。 間違いもゴールするための寄り道だと思うから。
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