2人が本棚に入れています
本棚に追加
「だから解放してあげるって言ってんの!無理に付き合ってくれなくていい!」
「誰も無理なんて言ってない!」
「でも、好きとも言ってない!」
櫻子がグチャグチャの顔で振り向いた。
そうだった。
私は好きだって言ってくれてる櫻子に甘えていた。
自分からは言わない、言えなかった。
遥のコトを知ってる櫻子に好きと言えば、遥の代わりになるのではないか、そうすれば櫻子を傷つけてしまう。
そんな事を考えてたら、何も言えなくなっていた。
会うのも、キスをするのも、一緒に寝るのも全て櫻子からだった。
「信じてもらえないかもしれないけど、、、」
菜月は立ち上がり、グチャグチャの櫻子を抱きしめた。
「ちゃんと言えなかった。変わり身の早いやつって思われたくなかった。」
声を殺して櫻子が泣いている。
櫻子を泣かしたのは私だった。
「櫻子、、、私はあなたが大好きです。さっき、振られたばっかりだけど、私と付き合ってください」
櫻子の耳元で初めての告白をした。
菜月の背中に手を回してきつく抱きしめ返してきた
「遅いよ、早く言ってよ、、、」
櫻子が声を出して泣き出した。
「ごめんね。ちゃんと好きだったよ?」
少し2人の間をあけて、菜月は櫻子にキスをした。
また更に泣き出してしまう。
「もう、、、いい加減泣き止んでよ?」
「だって、、、2年越し、、だよ?」
「、、、そっか、随分待ってくれたんだね。」
また唇を重ねる。
2年分の想いを受け取るつもりの深い深いキス。
この公園で始まった。
この先、どうなるかわからない。
幸せなゴールがあるのかもわからない。
まだ、この国は私たちのカタチを理解してくれる社会ではない。
それでも、少しづつ上むいて前に行くしかない。
「菜月、ちょっと待って。」
菜月は立ち止まる。
背中にぶつかる櫻子。
「急に止まらないでよ、鼻ぶつけたじゃん。」
「もう追いかけなくていいよ。」
「え?」
菜月は櫻子の手を握り一緒に並んで歩く。
「おんなじスピードで行こう、並んで。櫻子より、もう先に行かない。」
櫻子は嬉しそうに微笑む。
「私が先行っちゃったらどーするの?」
少しニヤニヤして菜月を見る。
「追いかけるよ。今度は私が。」
櫻子が満足気に菜月の腕に絡みついてくる。
夜桜が満開でいつまでもふたりを見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!