1章

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 「10月最初の月曜日の7時、みなさん月曜日だっていって憂鬱になってませんかー?」  宮元はラジオに返事をすることなく、朝食代わりのコーヒーをすすっていた。テレビは嫌いだ。テレビは情報量が多くて疲れてしまう。ラジオぐらいが丁度いい。今日は企画に向けてのプレゼンがあり、夜には水野と呑みに行く約束もあるので、早めに行動しないと間に合わない。彼は家を出ていった。  朝の通勤ラッシュも、短い時間のランチも、残業続きも、そういう東京らしいことは大体慣れた。呑みの約束に遅れるって連絡もこなれてしまった。宮元はそれに対して感傷もないし、後悔もない。あるのは「まあ仕方ない」というボンヤリとした感情だった。  結局宮元は水野との約束を反故するかたちとなった。夕飯を作る気力もなくなった彼は、駅前のラーメン屋で腹を満たすことにした。濃い味付けのラーメンをレモンサワーと一緒に流し込みながら、店内に響くラジオを適当に流し込んでいた。  カウンターに出しておいた宮元のディスプレイには、短いメッセージが映された。優しい言葉ではなかったが、それに対して傷つく体力もなかった。店員に声もかけずに出ていった宮元の背中にラジオが声をかけた。 「明日も素敵な一日になりますように。おやすみなさい。」
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