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1章
深く泥のように眠っていた。
そして目が覚めたら部室にいた。
宮元は辺りを見回しながら上半身を起こした。その彼の頭部をめがけて絵コンテをぐちゃぐちゃに丸めた球が飛んできた。
「寝坊だ、バーカ。」
投げた張本人である常田に向かって宮元は紙の球を投げ返し、近くにあった眼鏡をかけた。壁には昔からの映画のポスターとコンクールまでの締め切りが乱暴に貼り付けられ、床にはパネルが外された自作PCや2台接続されたテープデッキなどが並んでいる。そして一番奥の机には常田が足を投げ出して座っていた。いつもの映画研究会の部室だった。
「ずいぶんしっかり寝てしまったようだ。」
「この状況でよく寝れたようでよかったな。」
相変わらず憎まれ口を叩く常田だが、この喋り方はいつものことで宮田は別段反省もなく、そのまま常田の机の近くに座り、近くのお菓子に手を伸ばした。
「シーン4だけど少し変える。」
「まじかよ~。もっと早く言えよ。絵コンテ徹夜で書いたのに。」
「目が覚めたらハッとしたんだ。女の子を宇宙から来た人、だとありきたりだって。だから・・・地底から来たことにする。」
「・・・いいじゃん、それ!やっぱりすげえよお前!」
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