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花の代わりに葉の一枚一枚が
競い合うかのように緑を誇り
枝から葉先まで全体で生を主張し
夏を謳歌していた頃から一月半。
今ではあんなに瑞々しかった木々も
徐々に精気を失ったかのようにしな垂れ
濃い緑の葉を繁らしていた筈の梢は
薄い緑や赤い葉に色を変えていた。
一枚、そしてまた一枚と舞い散る季節。
そんなどことなく寒々しい木の下で
私は川原に座り対岸の道行く人を眺める。
今日の太陽は季節を間違えたのか
それとも夏を偲んでの最後の足掻きなのか。
とにかく季節外れの強い日差しを地上へと降り注ぐ。
太陽の視線に耐え切れなくなった地上の人々は
上着を手にしたり半袖姿で闊歩する。
しかし目前で葉は静かに舞い落ち続ける様は
間違いなく今の季節を「秋」だと物語っていた。
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