Prologue:射撃場の「死翠《しすい》」

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Prologue:射撃場の「死翠《しすい》」

『Silver Pisces』の壊滅は、すぐに他の組織に知れ渡った。 過去に煮え湯を飲まされ続けた『Pink Capricoin』が安堵した事は言うまでもない。 あたしは屋敷に戻ってから着ていたスーツやワイシャツを総て破棄した。 『Silver Pisces』のトップである「八虎(やとら)」やその側近の「理人(りひと)」と「凪斗(なぎと)」、 そして「Scylla(スキュラ)」のオーナーだった「(あかつき)」の返り血を浴びた服をクリーニングに出す気はなかった。 それから数日後、黒いTシャツに黒のジーンズを着て、屋敷の地下にある射撃場にいた。 『腕が鈍ったら意味ねぇからな』 そう言うと蒼いデザートイーグルを構えて、目の前の的を撃つ。 照準は確かなのに何故か少し右にずれている。紅いデザートイーグルも同様にずれていた。 立ち位置を変えてみたがやはり照準からずれる。 『後でRookの研究班に調整してもらうか』 そう言うと次はコルトパイソンを取り出した。こちらは照準に関しては問題がないが、 リボルバーの回転とハンマーの動きがスムーズではない。あたしは苛つき始める。 『これもかよ。「蒼焔(そうえん)」の奴、きちんと手入れしてないだろ…』 半ば諦めモードで拳銃を扱うのは止めてしまった。 翠の刀身を持つ逆刃刀を取り出すと、巻き藁を斬り倒す。 目の前にあった巻き藁は総て綺麗に斬り倒された。 刃零れ1つない事に満足したあたしは、その後も何本もの巻き藁を斬り倒した。 1時間位続けていただろうか?不意に誰かの気配を感じたあたしは、 隠し持っていたダガーを3本、人の気配のする方向へ投げつけた。 しかしダガーは誰にも当たらず空を切るだけだ。 「相変わらず訓練は怠らないな、死翠」 声が聞こえた。 その方向を見つめると、そこにはあたしが投げたダガーを持った1人の男性の姿があった。 『Black Gemini』のトップであり、あたしのMasterでもある「King」こと「風雅(ふうが)」だった。
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