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でも所詮は別の個体。
顔が違う、頭のつくりも違う。
情が湧いたのは俺だけで、七生の心はいつも違うところにあったんだ。
来る者拒まずの七生。俺にはイノッチにしか見えないけど、女子にはイナバ何某とかフクヤマ系に映るらしい。最短で三日、最長で半年(うち三ヶ月は留学で不在)、恋人はすぐ出来るけどいつも振られている。その辺は俺も似たり寄ったりだったけど、元カノちゃんに理由を聞いたら決まって『七生は優しいけどうわべだけ。愛されてた気がしない』的な答えが返ってきた。
うわ ─── めっちゃわかるわー。優しくて楽しくて大抵のことは受け入れてくれて理想的な彼氏だけど、芯の部分がいつも冷めてるんだよなー。って、元カノ達に共感してどうする。俺が七生とセックスできるのはこの『恋人に振られてから次の恋人が現れるまで』の期間しかない。時折巡って来るこのチャンスを逃すわけには行かない!
「え。無理。由貴いま彼女いるし」
「七生となら浮気にならん」
「アホか。誠実に生きろ」
どの口が言うか。
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