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こんな事が度重なるとソイツの顔を見てやろうと思うもので。
「モリヤナナオってどれ?」
「あそこ、窓際で親子丼セット食ってるやつ」
いよいよご対面!
が、似てなかった。ちっとも似ていなかった。まるで糸のように細い目……うっすい顔だなー。目元ひとつとってもパッチリ二重瞼のこの俺とは全く似ても似つかねーわ。でも入学してからこっちの間違えられようは尋常じゃない。あいつも俺に間違えられたりするんだろうか。何にしたって興味深い。
「ねーねー、隣いい?」
「どぞー」
結構軽いな。
「あのさー。俺、新妻由貴ってゆーんだけど俺と間違えられたりする?」
細い目を見開いてばっと顔を上げると、俺をじーっと見つめ『全然似てねー』と呟いた。やっぱりか。
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