5/23
146人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
  七生の弟・晃介(こうすけ)に初めて会ったお花見バーベキューの時、あいつはまだ高校生だった。山ピーかと思った。線の細い、まじで山ピーばりの美少年だった。 ざわつく先輩がた(主に女子)を尻目に、七生は晃介から片時も目を離さない。 まさに眩しいほどの溺愛ぶり。本人は無意識なんだろうが、声のトーンまで変えて甲斐甲斐しく世話を焼く。飲み物を運び焼き鳥の串を外し髪についた桜の花びらを愛しげな目差しで取ってあげたりなんかして、さながら山ピーに(かしず)くイノッチ。俺はイノッチファンではあるが。 まぁあんな可愛い弟に兄ちゃん兄ちゃんと慕われればそりゃ堪らんだろうけど……にしたってどーよ。 それに似てない。どこにも似たところがない。七生の弟なら、やっぱり俺と共通点があるのかと楽しみにしていたけど全く無い。 仲睦まじく麗しい兄弟愛に()てられ、俺は内心面白くなかった。 大学(がっこう)では俺以上に七生と親密な人間は居ない。歴代彼女からも敵視されてきたほど仲がいい。それが……………
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!