誘惑のサンタ

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誘惑のサンタ

タイトル:誘惑のサンタ 書いた人:甘らかん(かんらかん よい子です)  夜中に目が覚めてしまうのは、たいていトイレに行きたくなるからだけど、この夜は違った。  10月半ば。街はハロウィンで盛り上がっていようこの時に、私の目に飛び込んできたのは。 「なんで!」  思わず叫んでしまった。  本来なら「キャー」とか「助けて」とかビクビクすれば可愛げもあるというものなのに。 「いろんな意味でなんで!」  2度言ってしまうあたりも独身賃貸一人暮らし人生折り返し過ぎた女性の肝すわり性質のなせる技なのか。  振り返った男はおじいさんではなかった。付け髭もつけていない。  その男の第一声が。 「ぷぷぷ。いい歳してピンクのパジャマですか」  真顔でぷぷぷってなんだ。 「黄色いサンタに言われたくないよ」 「これは、一本取られちゃったかな」  ぷるんとした厚めの唇がセクシーな男はそれ系のイケメンであった。  それ系のというのは、午後3時にお届けものを装って人妻に愛の言葉をささやきに来るようなイケメンということだ。 「さて、自己紹介からしたほうがいいかな」     
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