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やっぱり下着ドロする気だったんだな。イケメンでなかったら警察に通報する前にボコボコのギッタンギッタンにするところだ。
「もう着なくなった服とかでいい?」
「もちろん」
ウインクをかます黄色いサンタである。
「はい、これあげる」
昔お世話になっていた印刷会社のオリジナルTシャツを放り投げた。
「なんだい、これは」
いま、いちばんいらないものとは言いにくいな。
「男の子と女の子の絵があるでしょ。それ大変有名な漫画家さんがキャラデしてくれた書き下ろしだからプレミアものだよ」
社名と創立記念とかもプリントされている、理不尽に首切りされた会社だから見たくもないやつだ。
「これはだめだ」
拒否るイケメン。
「なんで、いらないのに」
「袖通してないでしょ? 生活感のないものを持っていくと試験官に盗品だと思われてしまうんだ」
一回着ればいいのか? と言いたかったが、会社憎けりゃTシャツ憎い。これに袖を通すのは大変胸糞悪い。
「着た感あるやつでお願い」
「しょうがないなぁ」
捨てようと思っていた夏服の山からなんでもない無地のTシャツを出した。
「じゃあ、これで。けっこう着たよ」
首ののびたTシャツを眺めて頷いている。黙っていれば普通にイケメンなのに。
「あなたは本当にかわいい女性ですね。Tシャツまでピンクだ」
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