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鶴の恩知らず
先日鶴を助けた。僕もおかしいと思う。21世紀だし、都心だし。
バイトの帰り道、通り慣れた神社の横の細い道に突如、鶴が現れた。その足にはギザギザの付いたいかにもな罠が噛みついていて、鶴はぐったりとしていた。
見なかったことにするのもバツが悪く、現代の文京区において罠猟で生計を立てている人間がいるとも思えなかったので、僕は鶴を救ってやった。鶴は数秒僕の顔をじっと見ると、くいっと頭を少し下げ、狭い夜空へ飛んで行った。
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