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上半身を起こした状態で下を向きいっちゃんが呟く。
「俺が頼りないから……」
紗英は驚いて「違うよ!」と否定した。
するといっちゃんが大きなため息を吐いて頭をくしゃっと掻いた。
「確かに世の中にはもっと頼り甲斐のある男は……」
「違うってばいっちゃん!」
口を閉じたいっちゃんはチラリと紗英を見たが、ごめんと口にしたまま、また黙ってしまう。
「謝らないで。私が、私が悪いんだから。それにね、本当に違うんだよ? 私は今度こそ一人でちゃんと生活できるようになりたいの」
「……うん」
「誰かと住んでダメになったら、また行く場所がなくなるかもしれないから……それは悲しすぎるから」
いっちゃんは直ぐには何も言わなかった。頭をまた掻いて言いたいことを飲み込んだように感じたのに、最終的に顔を上げて紗英を見た。
「とにかく、居なくなんないで……住む場所とかちゃんと教えて欲しい。あと、定期的に顔を見たい」
「……うん」
「ウザいかもしれないけどさ、居なくなられるのは……やっぱりしんどいから」
苦渋に満ちた表情を見ていると、紗英は後悔で押し潰されそうになる。いっちゃんにこんな顔をさせるなんて。
「ごめん、ごめんなさい」
「謝って欲しい訳じゃない。ただ消えないで欲しいだけ」
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