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カチャカチャとカレー皿を取り出し、炊いておいたご飯を盛りだした。山にしたご飯を見せるためサエに二三歩近寄ると、サエはご飯の量を確認して頷いた。
「甘えるってなに?」
テーブルを拭き終えたサエが壱の手からご飯入りの皿を受け取りカレーを掛けた。美味しそう。呟いたサエが壱にはとても嬉しい。
「カレー、カレー、コンビニ弁当、コンビニ弁当。いい加減飽きたから、たまには美味しいものが食いたい。作りに来てよ」
もちろんそれはサエを呼び出すための口実なのだが、口にするとかなり傲慢な気がして壱は言い換える。
「食いたいから、教えてよ」
サエがどう思ったのか解らないが、即答はしなかった。暫くカレーを見たまま黙って、それから壱に顔を向ける。
「私、ここに遊びに来ても大丈夫?」
心配そうな表情に「なんで?大丈夫に決まってんだろ」と壱は言い切った。
「逆にサエんところ俺が行ったらまずいだろ」
女性専用シェアハウスならきっと中には入れない。サエは再び動き出し立ち上がって、壱の手から壱用の皿を取ると見上げたまま何か訴えるような表情をした。
「なに?」
「いっちゃんがいいならくるよ」
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